給与明細の見方|引かれているお金の中身を1つずつ

こんにちは、にゃんこです。2026年4月から、給与明細に新しい項目がひとつ増えました。「子ども・子育て支援金」という控除欄です。見慣れない名前が並んでいて、驚いた方もいるかもしれません。
経理の仕事をしていると、毎月たくさんの給与明細に触れます。今回は控除欄に並んでいるものを、ひとつずつ見ていきます。
給与明細は3つのまとまりでできている
多くの給与明細は、大きく3つの区画に分かれています。勤怠の欄、支給の欄、そして控除の欄です。
勤怠は出勤日数や残業時間、支給は基本給や手当の合計です。そして控除が、支給額から引かれていくお金をまとめた場所になります。手取りは、支給の合計から控除の合計を引いた金額です。
この3つの区画は、どの会社の明細でもだいたい同じ並びになっています。初めて明細を見たときは支給欄の金額だけ確認して終わりがちですが、控除欄を追うと自分のお金がどこに流れているのかが見えてきます。
控除欄に並んでいるもの
控除は、大きく分けると社会保険料と税金の2種類です。
- 健康保険料 — 病院での窓口負担が原則3割で済むための保険
- 介護保険料 — 40歳になった月から64歳まで加わる
- 厚生年金保険料 — 将来の年金と、万一のときの障害年金や遺族年金のため
- 雇用保険料 — 失業したときの給付や、育児休業給付などのため
- 子ども・子育て支援金 — 2026年4月から始まった新しい項目。医療保険料と一緒に集められる
- 所得税 — その月の給与にかかる国の税金
- 住民税 — お住まいの自治体に納める税金
このうち社会保険料は、会社も同じくらいの額を負担しています。明細に載っているのは本人負担分だけです。厚生年金保険料は料率18.3%を会社と本人で折半する形になっていて、給与の額に対してほぼ一定の割合で決まります。
雇用保険料は業種によって率が変わりますが、一般の事業であれば本人負担は給与額のおおよそ0.5%程度です。金額は小さく見えても、毎月続く控除なので年間で見るとそれなりの額になります。
新しく増えた「子ども・子育て支援金」とは
子ども・子育て支援金は、こども家庭庁が所管する制度で、児童手当の拡充など子育て支援策の財源にあてるためのものです。健康保険料と同じ仕組みで、会社と本人が折半して負担します。
率は毎年見直される予定になっていて、2026年度は0.23%程度、月額でいうと本人負担はおおよそ300円前後が目安とされています。年収によって金額は変わりますが、大きな負担感になりにくいよう段階的に引き上げる設計です。2027年度は月額400円前後、2028年度は月額500円前後まで上がる見込みが示されています。
明細の控除欄でこの項目を初めて見たときは金額の小ささに驚くかもしれませんが、健康保険料の枠内で一緒に徴収される仕組みなので、明細上は健康保険料と合算されて表示されている会社もあります。見当たらない場合は、健康保険料の内訳に含まれていないか確認してみてください。
試しに数字を当てはめてみる
言葉だけだとイメージしにくいので、支給額を25万円と仮定して、ざっくりとした目安を当てはめてみます。あくまで一般的な料率をもとにした試算で、実際の金額は加入している健康保険組合や地域、扶養の有無によって変わります。
- 健康保険料(子ども・子育て支援金を含む) — およそ1万3千円前後
- 厚生年金保険料 — およそ2万3千円前後(料率18.3%の本人負担分)
- 雇用保険料 — およそ1,300円前後(料率0.5%の本人負担分)
- 所得税・住民税 — 扶養の有無や前年の所得によって差が大きい
社会保険料の3つだけで、支給額の1割5分前後が引かれる計算になります。ここに所得税と住民税が加わるので、手取りが支給額の8割を切ることも珍しくありません。数字を当てはめてみると、控除欄の重みが実感しやすくなります。
住民税だけ、性質が少し違う
控除欄の中で、住民税だけは他と成り立ちが違います。住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得に対してかかるためです。
そのため社会人1年目は、給与から住民税が引かれません。前年に所得が無いからです。2年目から所得税に加えて住民税も引かれるようになり、手取りが急に減ったように感じる方が多くいます。
金額の切り替わりも毎年6月です。6月の明細で住民税の額が変わっていたら、それは前年の所得をもとに計算し直された結果になります。5月までは前々年の所得をもとにした額が続き、6月分から新しい年度の額に切り替わるという流れです。
毎月の所得税は、実は仮の金額
もうひとつ知っておくと見え方が変わるのが、所得税の性質です。毎月引かれている所得税は、あくまで概算の金額になっています。
正しい年間の税額は、1年が終わってからでないと決まりません。そこで年末調整をして、多く引きすぎていた分を戻したり、足りない分を追加で引いたりします。12月の給与で手取りが増えることがあるのは、この精算のためです。
年の途中で家族構成が変わったり、生命保険料を払っていたりすると、年末調整で戻ってくる金額も変わってきます。控除の申告書を出し忘れると精算のタイミングを逃してしまうので、年末に会社から書類の提出を求められたら早めに出しておくと安心です。
明細は、1か月単位の記録でもある
給与明細は、その月に自分がいくら稼いで、何にいくら払ったのかが1枚にまとまった記録です。家計簿をつけるときの出発点にもなります。
手取り額だけを家計簿に書き写す方が多いと思いますが、控除欄の内訳まで年に1度くらい見返しておくと、自分がどんな保険や制度に支えられているのかが実感として分かります。金額が急に変わったときも、原因が保険料の見直しなのか税金の精算なのか、見当がつきやすくなります。
次に明細を受け取ったら、控除欄をひとつずつ眺めてみてください。それぞれに役割があると分かると、引かれている金額の見え方も少し変わってきます。
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