扶養に入るとは|社会保険と税で基準が違う

こんにちは、にゃんこです。会社で経理をしていると、年末が近づくころに「扶養に入りたいのですが」という相談を受けることがあります。そのときいつも確認するのが「どちらの扶養のお話ですか」という点です。実は扶養には性格の違う2つの制度があります。この記事では、そのうち社会保険の扶養について整理してみます。なお内容は2026年10月時点の公的機関の案内に基づいています。
扶養には2つの種類がある
ひとつは税の扶養です。所得税や住民税を計算するときに、扶養している家族の分だけ控除を受けられる仕組みです。もうひとつが社会保険の扶養です。家族が健康保険の被扶養者になり、自分で保険料を払わずに保険証を持てる状態を指します。
この2つは名前が似ているだけで、基準となる金額も判定の時期も別々です。片方の条件を満たしても、もう片方は満たさないことがあります。ここを混ぜて考えてしまうと話がかみ合わなくなります。経理の窓口で最初に種類を聞くのは、そのためです。
社会保険の扶養に必要な3つの条件
日本年金機構の案内では、被扶養者になるための条件が整理されています。大きく分けると次の3つです。
- 日本国内に住所(住民票)があること。海外に住んでいても特例で認められる場合があります
- 被保険者(扶養する人)に主として生計を維持されていること
- 収入の基準を満たしていること
対象になる家族の範囲にも決まりがあります。同居していなくても対象になるのは、配偶者と子・孫・兄弟姉妹、それに父母や祖父母などの直系尊属です。一方でおじ・おばや甥・姪のような3親等内のその他の親族は、同居していることが条件になります。同じ「親族」でも扱いが分かれる点は覚えておくと便利です。
収入の基準は130万円だけではない
よく聞く「130万円の壁」は、この収入要件のことです。ただし130万円は原則の数字で、人によっては別の金額が使われます。
| 対象になる人 | 年間収入の基準 |
|---|---|
| 原則 | 130万円未満 |
| 60歳以上または障害者 | 180万円未満 |
| 19歳以上23歳未満 | 150万円未満 |
19歳以上23歳未満の150万円未満という基準は、扶養認定日が令和7年10月1日以降になる方から使われています。大学生くらいのお子さんがアルバイトをしている場合に関係してきます。
さらに、収入が基準内でももう一段の条件があります。同居している場合は、その収入が被保険者の年間収入の半分未満であること。別居している場合は、被保険者からの仕送り額より少ないことです。たとえば被保険者の年収が200万円で家族の収入が120万円なら、130万円未満は満たしていますが半分未満ではありません。金額をひとつ見ただけでは判断できない仕組みになっています。
2026年10月から「月8.8万円」がなくなった
扶養から外れる理由はもう1つあります。自分自身が勤め先で健康保険と厚生年金の被保険者になる場合です。この加入条件が2026年10月1日から変わりました。
これまであった「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件が、令和7年の年金制度改正法によって撤廃されました。いわゆる「106万円の壁」と呼ばれていた部分です。日本年金機構の案内によると、撤廃後に残る条件は次の3つです。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 勤め先が従業員数51人以上の企業であること
- 学生ではないこと
つまり判断の軸が「いくら稼いだか」から「週に何時間働く契約か」へ移りました。月の収入を細かく調整して扶養にとどまる、という考え方は使いにくくなっています。シフトを決めるときは、金額より先に週あたりの所定労働時間を確認するほうが確実です。
認定は労働契約の内容で見込みを判定する
もう1つ押さえておきたい変更があります。被扶養者の認定で使う「年間収入」の見方です。令和8年4月1日以降は、労働条件通知書や雇用契約書に書かれた賃金から見込まれる年間収入で判定する扱いになりました。
これまでは実績をもとに見られることが多く、月によって収入が増えると認定が揺れることがありました。新しい扱いでは、契約の段階で基準額を超えていなければ被扶養者として認定される可能性があります。手続きのときに労働条件通知書や雇用契約書を求められることがあるので、入社時にもらった書類は捨てずに取っておくと安心です。
税の扶養との違いはどこに出るか
最後に、冒頭の2種類の違いをもう一度整理します。社会保険の扶養は「これから1年でいくらになりそうか」という見込みで判定します。一方で税の扶養は、その年が終わって所得が確定してから判定します。だから年の途中で収入が増えたとき、社会保険のほうに先に影響が出ます。
対象になる親族の範囲も違います。税の扶養控除は6親等内の血族と3親等内の姻族が対象ですが、社会保険の被扶養者は3親等内の親族までです。控除額や所得の基準は年度ごとに見直されるので、税の側の具体的な金額は国税庁の案内で確認するのが確実です。
まとめ
社会保険の扶養を決めるのは3点です。国内に住所があること、生計を維持されていること、そして収入の基準を満たすことです。130万円は原則の数字で、年齢などによって180万円や150万円が使われます。2026年10月からは賃金要件がなくなり、週20時間という契約の内容のほうが大事になりました。数字をひとつ覚えるより、どちらの制度の話なのかを先に確かめる。それが遠回りに見えて一番早い道だと思います。
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