請求書と領収書|役割の違いと保存のきまり

こんにちは、にゃんこです。経理の仕事をしていると「これは請求書でいいんですか。それとも領収書ですか」とよく聞かれます。どちらもお金のやり取りに関わる書類ですが、役割はきれいに分かれています。副業で誰かと取引をするようになると、この違いが自分の問題になってきます。今回は2つの書類の立ち位置と、保存のきまりを整理してみます。ここで挙げる金額や年数は2026年10月時点の国税庁の案内に基づくものです。
役割は向きが逆になっている
請求書は「このお金をください」とお願いする書類です。支払いの前に出します。領収書は「たしかに受け取りました」と伝える書類です。支払いの後に出します。向きがちょうど逆になっていると考えると分かりやすいです。
この順番がはっきりしていると、やり取りの事故が減ります。請求書を出さないまま待っていると、相手の経理に支払いの予定が立ちません。領収書を出さないままだと、相手は支払った証拠を持てません。経理の側から見ると、請求書は出ていくお金の予約票に近く、領収書は出ていったお金の完了票に近い感覚です。
請求書に書く項目は決まっている
消費税のインボイス制度では、適格請求書として扱われる書類の記載事項が決められています。国税庁の案内では次の6点です。
- 書類を作成した人の氏名または名称、および登録番号
- 取引をした年月日
- 取引の内容(軽減税率の対象品目であればその旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額、および適用した税率
- 税率ごとに区分した消費税額など
- 書類を受け取る事業者の氏名または名称
小売業や飲食店業、タクシー業などでは一部を省ける扱いもあります。ここでいう登録番号は、適格請求書発行事業者として登録した人に付く番号です。登録していない人の請求書に番号がないのは普通のことなので、それ自体が不備になるわけではありません。
副業の立場だと、ここまで細かく求められない場合もあります。それでも「誰が・いつ・何を・いくらで」の4点が入っていない請求書は、相手の経理で止まりやすくなります。自分の控えにも同じ内容を残しておくと、後から金額を聞かれたときにすぐ答えられます。
領収書の代わりになるもの
領収書はお金を受け取った側が出す書類です。手書きの紙である必要はありません。振込で支払われた場合は、通帳の記録やネットバンキングの明細がお金の動いた証拠になります。この場合は領収書を別に発行しないことも多いです。
クレジットカード払いだと、お店が出す利用明細は領収書とは性格が違います。カード会社への支払いが後から起きるためです。経理では、カードの利用明細と後日の引き落としを別々に追いかけます。家計簿でも同じで、使った日と引き落とされる日がずれる点は意識しておくと混乱しません。
5万円以上の領収書と収入印紙
領収書には印紙税という税金が関わります。国税庁の案内によると、金銭や有価証券の受取書は記載金額が5万円未満なら非課税です。5万円以上の場合、売上代金に係る受取書は金額の区分ごとに税額が決まっています。
| 記載金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税 |
| 5万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 600円 |
| 300万円超500万円以下 | 1,000円 |
もう1つ、「営業に関しないもの」は非課税という決まりもあります。国税庁の案内では、営業とは営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことだと説明されています。公益法人や商人以外の個人の行為は営業に当たらないとされています。自分のやり取りがどちらに当たるかは状況によるので、迷うときは税務署に確認するのが確実です。
保存期間は書類の種類で変わる
もらった請求書や領収書は、確定申告が終わってもすぐには捨てられません。国税庁の案内では、保存期間が申告の方法と書類の種類によって分かれています。
青色申告の場合、帳簿と決算関係書類は7年です。領収証や預金通帳などの現金預金取引等関係書類も7年ですが、前々年分の事業所得が300万円以下なら5年になります。請求書や見積書といったその他の書類は5年です。
白色申告の場合は法定帳簿が7年です。任意帳簿と決算関係書類、それに請求書や領収書などのその他の書類は5年とされています。なお消費税の課税事業者になると、別に7年の保存が必要になる書類もあります。年ごとに封筒を分けて入れておくだけでも、後から探す手間はかなり減ります。
やり取りの流れを先に決めておく
副業で取引が始まると、書類のやり取りは思ったより早く発生します。先に流れを決めておくと毎回迷わずに済みます。
- 仕事を受ける前に、金額と支払日を文章の形で残しておく
- 仕事が終わったら請求書を出し、控えを自分でも保存する
- 入金を確認したら、必要に応じて領収書を出す
- 1年分をまとめて保存し、申告の後も期間が過ぎるまで置いておく
紙とデータが混ざると見つけにくくなります。どちらかに寄せるか、片方をスキャンして同じ場所にそろえておくと探しやすいです。経理の現場でも、保管場所が2つあるだけで探す時間は倍になります。
まとめ
請求書は支払いをお願いする書類で、領収書は受け取ったことを伝える書類です。出す順番が入れ替わることはありません。適格請求書には記載事項の決まりがあり、領収書には印紙税や保存期間の決まりがついてきます。どれも細かい話ですが、先に流れを作っておけば毎回悩まずに済みます。書類は後から作り直せないので、出すときにそろえておくのが一番楽な道だと思います。
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